天下の悪法 連帯保証
読者の方は、法律学の大原則である 「 利益あるところに危険あり 」 という言葉をご存知でしょうか。
この言葉の意味は、利益を目的にして、何かをした場合に、その結果、利益がでればその利益は、それをした人のものであり、反対に損をしたときは、その損は、やはりそれをした人の損であるということです。
もう少し言うと、自分が儲かると思って何かをしたのだから、予期に反して損がでたとしても、その損は自分の責任であり、その損を他人に押し付けられないと言うことです。
金融機関が、ある人に金を貸す場合、借りる人は借りることにより何らかの利益を受けますが、貸す側の金融機関もまた貸金の利息を貰うという利益を受けます。
ですから、もし返して貰えなくなったら、返して貰えなくなったのは、返せなくなるような人に大事な金を貸した金融機関の責任です。
あなたが、人に金を貸した場合のことを考えて見て下さい。
まじめに働こうとしないで、毎日遊び回っている人に、金を貸したが、返して貰えないとしたら、世間ではなんと言われるでしょうか。まじめに働こうとしないで、毎日遊び回っている人に、よく調べもしないで貸した、あなたの責任だと言うでしょう。
金融機関についても同じことがいえます。
金融機関も、金を貸すときには、返せる人か、返せない人か、よく調べなければなりません。返して貰えないのは、調べ方が、ずさんだったのです。返して貰えないのは、調べ方がずさんだった金融機関の責任です。
こうしたことから、貸手にも責任があるといういわゆる 「 貸手責任論 」 も最近いわれるようになってきました。
ところが、日本では連帯保証という制度があります。個人であれ、会社であれ、一頃は、銀行から融資を受けようとすると、まづ、自宅などを担保に入れることを要求されました。のみならず、配偶者や親戚などを連帯保証人にさせられ、会社の場合であれば、この他に社長個人が連帯保証することも当然のごとく要求されました。
銀行員に言わせれば、貸金を回収するための処置であり、当然のことだと言います。確かにここまですれば、貸金の回収が出来なかったということは、少なくなるでしょう。
しかし、これでは、貸手責任を果たしているといえるのでしょうか。
そもそも、ヨーロッパ、アメリカには連帯保証という制度がありません。ヨーロッパ人に日本の連帯保証制度について説明すると、彼らの多くは、 「 それは詐欺ではないか 」 と言うそうです。
いま、ヨーロッパ、アメリカにには連帯保証という制度がありませんと書きましたが、先日あるホームページを見ていたら アメリカにも連帯保証に似た制度があると書いてありました。しかし、日本の連帯保証制度のような過酷なものではないらしいとも書いてありました。詳しいことは私にも分かりませんので、機会があれば調べてみようと思います。
理論的なこともありますが、連帯保証の実際上の弊害は、読者もよくご存知でしょう。保証人になったために家・屋敷を失なったなど有名な話です。
自己破産で司法書士のところへ相談に来る人のなかには、親・兄弟その他の親戚に保証人になって貰っている人もいます。この場合は、本人が自己破産をしても保証人は責任を免除されないので、保証人に迷惑をかけたくなければ、自己破産の手続は使えません。場合によっては、保証人も一緒に自己破産させなければなりません。
連帯保証のような弊害の大きな法は、すみやかに廃止されることを願っています。