ベニスの商人
「 ベニスの商人 」 は、十六世紀イギリスの有名な劇作家ウイリアム・シェイクスピアによって、1596〜1597年にかけて書かれた作品です。この作品は日本で最も多く上演されたシェイクスピア劇であり、「 真夏の夜の夢 」 「 ヘンリー4世 」 と並んで、彼の書いた喜劇の代表作と云えるでしょう。
この不朽の名作 「 ベニスの商人 」 と言えば、多くの日本人が知っていると思いますが、ここで改めてご紹介してみましょう。
この物語の主人公であるアントーニオは、ベニスで貿易商をしていましたが、その親友にバッサーニオと言う青年がおりました。バッサーニオは、ポーシャ姫に恋していましたが、求婚に必要な大金がありません。そこで、バッサーニオは、アントーニオにその大金の借用を頼み込みました。あいにく手元にお金がなかったアントーニオは、多額のお金をあくどい金貸しシャイロックから借りて、バッサーニオに渡してやりました。
こうしてバッサーニオは、ポーシャと結婚することができました。ところが、シャイロックへの返済期限が近づいたある日、アントーニオの商船が難破し、アントーニオは、たちまち破産状態になり、借金を返済することができなくなってしまいました。
シャイロックは、かねてよりアントーニオに恨みを持っていましたので、証文をたてに、彼を罠に陥 ( おとしい ) れようとします。証文には、こう書いてありました。「 期限までに金が返せない時は、アントーニオの身体から肉1ポンドをもらい受ける。」 と。
ポーシャは、夫の親友の危機を知り、裁判所に乗り込みます。そして、裁判官になりすまし、「 肉1ポンドを取ってもよいが、一滴の血も流してはならない 」 と判決します。
この判決には、あくどい金貸しシャイロックも、為すすべも無く、すごすごと法廷を引き揚げることとなります。こうして、アントーニオは救われ、観客は拍手喝采を送るという幕切れになります。
さて、読者の皆さんは、このポーシャの判決をどう思いますか。
現代では、法律的にいうと、借金を返せない場合は人の体を傷つけてもよいという契約は、民法90条により、公序良俗に反して無効になります。
このようなとき、国は、 「 肉1ポンドを取ってもよい 」 とは言わないのです。
ある人が破産状態になったときにどうするかは、その人個人の問題であると同時に、国の問題でもあるのです。借金を返済できない人のために、特定調停や民事再生の制度が用意されていますが、もっとも強力なのが 「 破産法 」 なのです。
破産は、借金を返済できない人を、借金から解放するために、国が認めた制度です。
どうしても借金の返済が出来なくなってしまったら、 「 破産法 」 を利用して下さい。